新型コロナウイルスの影響で3度の開業延期を経て。当日は地元市民らを招いて気球やミニ花火などのセレモニーを開催します
2019年8月に廃業した温泉施設「乙女の湯」がグランピング施設として復活。三密を避けた新たなアウトドアレジャー施設として地元も大きな期待を寄せる。日本で最後の野生コウノトリの生息地として知られる兵庫県豊岡市で、アウトドアレジャーを楽しめる宿泊施設が2020年7月3日(金)にグランドオープンする。施設名は「温楽ノ森」(おんがくのもり)。
広大な土地にデッキ付きの独立型テントで宿泊。アウトドアながらホテル並みの設備でステイできる温楽ノ森は、約8600平方メートルの敷地内に、天然温泉「乙女の湯」と、アウトドアのテントで宿泊できるグランピング施設を備える。グランピングとは、グラマラス(魅惑的な)とキャンピングを掛け合わせた造語。設備が整った環境で手軽にキャンプができるとして、近年人気を博している。
温楽ノ森の周囲は緑ゆたかで、近くには魚つかみが楽しめる浅瀬の川や、遊歩道がある。
テント設営や食事準備も不要のため、アウトドア初心者や子連れの家族でも手ぶらで訪れ、気軽にアウトドアを楽しむことができる。
当初、温楽ノ森は2020年3月にオープン予定だったが、新型コロナウィルスの影響もあり延期。5月初旬オープンに向け準備を進めていたが、緊急事態宣言を受けて再度延期。今回念願の開業となった。
施設では、名産・但馬牛のバーベキュー、地元の新鮮な食材を使ったグルメを楽しめる施設では宿泊客ごとに野外テントで宿泊する。テントはホテルのような快適な環境でアメニティも充実。他の客との接触も少なく三密になりにくいことから、ウィズコロナ時代のレジャーとしても注目を集めている。
テント内にはベッドのほか、ソファなども完備でくつろげる。施設内にある天然温泉「乙女の湯」には、屋内の浴槽以外に露天風呂もあり、流行りのテントサウナ体験もできる。泉質は神経痛や筋肉痛、関節痛などの効能のある炭酸水素塩泉。宿泊客以外に、日帰り客も利用できる。新型コロナウイルス等の感染予防及び拡散防止のため、当面の間は入浴時間を短縮して運営される。
天然温泉「乙女の湯」は美肌の湯として観光客や市民から親しまれていた。復活を機にリニューアルした
乙女の湯は、もとは旧出石町が2005年に建設。地元住民らにより運営が行なわれていたが、経営困難に陥り2019年8月に廃業していた。しかし温泉の復活を願う地元住民の声を受け、2019年夏に市が譲渡を公募。それに手を挙げたのが、大阪市の宿泊施設運営会社 株式会社キリンジの天川洋介(あまかわ ようすけ)代表。
グランピング施設として乙女の湯を復活させるプランを市に提案し、無償譲渡が決まった。公民が連携した公共施設利活用の事例となる。
譲渡決定後に豊岡市役所で行われた記者会見の様子「豊岡は豊富な自然に恵まれ、但馬牛や出石蕎麦などのグルメ、良質な温泉などエリアの魅力は十分備わっており、再生するべき施設だと考えた。緊急事態宣言で3度の開業延期になったが、ウィズコロナ時代のレジャーとして皆さんに楽しんで頂き、豊岡の観光資源、名産品を守っていきたい」と天川氏。
豊岡市出石には歴史ある建築物が多数残る。写真は出石の城下町風景。奥は辰鼓楼(しんころう)という明治時代初期の時計台7月3日に開催されるセレモニーは、豊岡市副市長や市の職員、地元の支援者や住民立ち合いのもと、宿泊客を交えて行われる。セレモニーは一般客も観覧可。温楽ノ森の宿泊予約は、ホームページで受け付けている。
新型コロナウィルスの影響で、全国的に観光業や飲食店、地元産業の危機は依然広がりつつある。地域と民間企業が手を取り合い、地元産業の活性化の良い事例となるか見守りたい。